水晶発振式水分(露点)測定テクノロジー
水晶発振式水分測定は、原理的に精度が高く、汚れの影響を受けにくい、歴史の長い測定技術です
静電容量式露点計や鏡面冷却式露点計ではなく水晶発振式水分計を選択しているのでしょうか?
特殊なコーティングを施した水晶振動子の振動周波数を利用して水分含有量を求めることから水晶発振式水分計を呼ばれます。
静電容量式露点計や鏡面冷却式露点計と水晶発振式水分計では、計測視点が異なるのがポイントです。 静電容量式露点計や鏡面冷却式露点計は露点を視ています、水晶発振式は水分量を視ている点が異なります。
特殊なコーティングを施すことで水晶振動子は水分を表面上に吸着させる性質を持ちます。 その水晶振動子は水分を吸着すると振動数が変わり、予め機器内部メモリに保存されたドライ状態の周波数と比較することで水分量を導き出します。 機器の性能は水晶振動子のコート材質に依存し、また同様に測定ガス温度やサンプル流量もコート材質によって微妙に変化するので注意が必要です。
水晶発振式水分計は高速応答が最大の特長です。流量と温度に大きく依存するため、アプリケーションによっては一定に維持するための外部コンポーネントの設置が必要です。
水晶発振式水分(露点)測定テクノロジー
水分測定用の水晶発振子(振動子)マイクロバランステクノロジーは、吸湿性コーティングされた水晶発振子の周波数の変化を、水蒸気に対して特定の感度で監視することをベースとしています。水晶発振子に水蒸気が大量に吸着すると、有効質量が増加し、水蒸気圧に正比例して結晶の共進周波数が低下します。この吸着プロセスは可逆的であり、長期的なドリフトの影響がないので、高い信頼性と再現性のある測定が可能になります。
ミッシェル社のQCM(The Quartz Crystal Microbalance)技術は、センサークリスタルへの外部からの影響(温度や経年変化など)を補償するためにセンシングチャンバー内にセンサークリスタルを2つセットしています。
コーティングされた水晶の表面に吸着した水分は、水晶の有効物質量の増加を引き起こし、発進周波数を減少させます。これは水の蒸気圧力と比例し、吸着プロセスは長期ドリフトが無く完全に復元性が有り、計測の高い信頼性と再現性をもたらします。 トレースレベルでの高速応答性は、適切にポリマーコーティングされた表面からの水分吸着/脱離により実現します。
クリスタルコーティング図
水晶発振式水分(露点)測定テクノロジーの長所と短所
長所 |
短所 |
高速応答
高精度
自己校正機能
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流量と温度に依存する
初期導入コストが高い
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校正周期について
露点計はメンテナンスフリーの測定器ではありません。 測定値に高い信頼性を維持するためには、定期的に校正をすることを推奨します。 水晶発振式水分計の校正周期は使用環境下によって異なります、校正周期の決め方についてはミッシェルジャパン株式会社までお問い合わせ下さい。
水晶発振式水分(露点)測定テクノロジーの測定原理まとめ
- 露点ではなく、水分量を視ている
- 特殊なコーティングを施すことで水晶振動子は水分を表面上に吸着させる性質をもつ
- 水分を吸湿した水晶振動子の周波数変化により水分量を測定している
- 流量と温度に大きく依存するため、一定に維持するための外部コンポーネントが必要
Michell Instruments社の水晶発振式水分計について
ミシェル社の水晶発振式水分計は、水分管理が重要なアプリケーション向けの水分測定器です。
非常に信頼性が高く安定した測定を提供するフィールド機器として、または高純度ガス製造、充填所の水分管理基準器などとしてご使用いただけます。
水晶発振式水分計 QMAシリーズのポイント
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測定方式
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水晶発振子(振動子)は、半導体より古くから利用されている技術です。
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自動校正
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高い信頼性を維持するために完全に独立された校正システムを搭載しています。センサー性能を確認するために定期的に校正が行えます。
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応答速度
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QCM技術により水晶発振子の表面に汚れが付着しにくくなり高速応答を実現
T63<ステップ変化(両方向)を2分以内
T95<ステップ変化(両方向)を5分以内
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精度
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水分含有量を直接測定するため、±10%RDG(0.1~500ppmV)を実現
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長期安定性
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QCM技術は、一貫して安定した測定を可能にします。
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ガス種
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さまざまなガスアプリケーションおよびガス種に対応